Jフロントは大阪・心斎橋で不動産の再開発を進める(大阪市、「大」マークの看板がある建物が大丸心斎橋店南館)

J・フロントリテイリングは22日、子会社の大丸松坂屋百貨店が大丸心斎橋店南館(大阪市)の建物を所有する心斎橋共同センタービルディング(SCB、大阪市)を完全子会社化すると発表した。すでにSCB株を50%持っており、残りを83億円で取得する。商業などでつくる複合施設の再開発を検討し、不動産価値を高めたい考えだ。

Jフロントは心斎橋地区に百貨店の大丸(本館と南館)とそごう・西武から取得した跡地にパルコなどを構える。SCBは南館の建物と一部土地を所有し、大丸松坂屋とオフィス賃貸業の三信(東京・中央)が50%ずつ出資している。SCBが三信から一部自社株を買い戻し、大丸松坂屋が三信からSCB株42.6%分を段階的に取得して完全子会社にする。Jフロントは24年3〜8月期の連結決算でSCB株の評価益約80億円を計上する予定だ。

大丸心斎橋の南館は1970年に開業した。三和銀行(現三菱UFJ銀行)心斎橋支店の建て替えや大丸心斎橋の拡張のため、三和銀との共同出資会社としてSCBを設立し南館を建てた。

現在は大丸松坂屋が「シャネル」や化粧品、免税カウンターなどインバウンド(訪日外国人)客向けの売り場を展開している。新型コロナウイルス禍前には免税店「ラオックス」が出店していたが、2021年の撤退後は一部フロアの未活用が課題だった。

大丸松坂屋は南館に隣接する2棟のビルを所有しており、周辺に再開発の範囲を広げる可能性もある。Jフロントは「立地を最大限に生かし、心斎橋にある既存の大丸やパルコとの相乗効果を高める開発を検討する」としている。

Jフロントはグループの店舗を持つ地方都市で不動産再開発を進めている。心斎橋地区ではヒューリックなどと手掛ける地上130メートル規模の高層複合ビルの開発が先行しており、26年の竣工に向けて高級ブランドの誘致などを担う予定だ。

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