診療できる疾患などを公表して患者が医療機関を選びやすくする

厚生労働省は19日、2025年度に始める「かかりつけ医」に関する報告制度の具体案をまとめた。各都道府県が病院などに対し、かかりつけ医の機能があるかどうかや診療できる疾患などを毎年報告してもらう。情報はウェブサイトにまとめて掲載し、患者の施設選びなどに役立ててもらう。

報告制度は大学病院や歯科医療機関を除く全ての病院や診療所を対象とする。かかりつけ医の研修を修了した人や、幅広い病気を一通り治療することができる「総合診療専門医」がいるかどうかも報告してもらう。

診療できる疾患は患者に分かりやすいよう、高血圧や腰痛症、かぜ・感冒といった外来患者が多い40疾患から選ぶ形にする。

集まった情報は厚労省の医療機関検索サイト「ナビイ」を通じて公開する。併せて各自治体には地域の医療提供の体制を把握し、足りない機能があれば対策をまとめるよう求める。

厚労省が19日開いた有識者検討会で大筋了承を得た。今後は制度開始に向け、関係するルールの改正やガイドライン作成に取り組む。25年末に医療機関へ報告を要請し、最初の公表は26年初めごろとなる見通し。

かかりつけ医の制度整備のきっかけは新型コロナウイルス感染拡大だ。日常的に受診する内科系の診療所で門前払いされる患者が続出し、本来であれば重症者を治療する大病院が軽症者も含めて全て受け入れる事態となった。健康について幅広く相談でき、必要に応じて専門医につなぐ医師の必要性が認識された。

当初財務省などは患者がかかりつけ医として受診する医療機関をあらかじめ決める「登録制」を提案した。だが患者が医療機関を自由に選べるフリーアクセスの妨げになるとして日本医師会が反発した。結果的に地域の医療機関が連携し、かかりつけ医としての機能を提供する形で落ち着いた。

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