「公益の追求」を信条とした渋沢栄一が設立や運営、あるいは出資者として関わった企業は約500社にのぼる。その他にも社会福祉や教育事業の団体を含めるとさらにその数は増える。設立から100年を超えた今も第一線で業界を牽引している企業は多く、渋沢栄一の遺産は現代においても脈々と受け継がれている。

渋沢が設立・運営に携わった企業を母体として現存している企業は 167 社(うち上場企業は 98 社)だった。2023年時点の売上高(単体)は、総合エネルギー企業のENEOSが10兆5781億円で最も高く、金融・保険関連やインフラ関連の業種が上位を占めた。日本で最初の銀行として1873年に開業した第一国立銀行を源流とするみずほ銀行を含め、三菱 UFJ 銀行、三井住友銀行と3メガバンクがそろって上位を占めた。

渋沢栄一関連企業には上場企業を含めた大企業が多く名を連ねており、売上高 1000 億円以上の企業は 85 社と半数を超えている。

業歴別では、創業・設立から 100 年を超える「老舗企業」が167社のうち110社に上る。渋沢が活躍した時代に興された企業が今もそのまま続いているケースが多く、平均業歴は 111.4 年。

最も業歴が長いのは三越伊勢丹(1673年創業)。三井高利が呉服屋として創業した「越後屋」が祖業だが、その後 1904 年に百貨店へ姿を変えた三越呉服店に渋沢が大きく関わっている。また、渋沢が長く相談役を務めた清水建設は、2代目当主の清水喜助の時代に渋沢邸を建設したことでも知られる。

渋沢栄一関連企業 業歴トップ10

設立年 企業名 ルーツのある企業
1673 三越伊勢丹 三越呉服店
1804 清水建設 清水屋(清水組)
1845 日本紙パルプ商事 中井商店
1853 IHI 東京石川島造船所
1872 毎日新聞 日報社
1873 みずほ銀行 第一国立銀行
大成建設 日本土木会社
第四北越銀行 第六十九国立銀行
王子ホールディングス 王子製紙
片倉工業 官営富岡製紙場

出所 : 帝国データバンク

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