株主総会後、記者会見するニデックの岸田光哉社長兼CEO(左)と永守重信・代表取締役グローバルグループ代表(18日、京都市下京区)

ニデックは18日、京都市内で株主総会を開いた。永守重信・代表取締役グローバルグループ代表は、4月1日に就任した岸田光哉社長兼最高経営責任者(CEO)を中心とする経営体制について「後継者選びは2人か3人失敗したが、今回は本物」と語った。総会後の記者会見では、生成AI(人工知能)向けサーバーの冷却装置を将来は1兆円規模の事業に育てたい考えを示した。

創業者の永守氏は4月に会長兼CEOから現職に就き、岸田社長らが経営の執行を担当する体制に移行した。岸田氏はソニー(現ソニーグループ)出身で、2022年1月にニデックに入社してから車載向けモーター事業を担当していた。4月に社長執行役員CEOになったが、18日の総会で取締役に選任され、総会後の取締役会で代表取締役に就く。

永守氏は岸田氏について「実力があり本物だ」と評したうえで、「かつては良い人材を見つけようと焦ったがダメだった」と振り返った。今後の自身の役割は「経営の第一線からは一歩引き、経営者の育成やM&A(合併・買収)を担う。ワンマンショーから脱皮していく」とした。

株主総会の会場では生成AIサーバー向け冷却装置の模型も展示した(18日、京都市下京区)

総会後の会見では、新規事業の生成AI向けサーバー用冷却装置などについて語った。AIサーバーは中核部品の画像処理半導体(GPU)などが発熱しやすく、水冷式の冷却装置の需要が急拡大している。ニデックは米サーバー大手のスーパー・マイクロ・コンピューターと冷却装置を共同開発し、25年3月期に数百億円規模の売り上げを目指している。永守氏は「将来は1兆円になると思う」と語った。

ニデックは近年、電気自動車(EV)の駆動装置「イーアクスル」に注力していたが、中国での価格競争の激化を受けて、採算性を重視する戦略に転換している。生成AI関連に力を入れるとともに、工作機械など新分野でのM&A戦略で成長を実現する方針だ。

ニデックは子会社の売上高過大計上などのミスがあったとして、5月に23年3月期と24年3月期の決算短信などを訂正した。株主総会の冒頭、佐村彰宣最高財務責任者(CFO)は「株主や投資家をはじめ、関係者の皆様には多大なご迷惑をかけ、深くおわび申し上げる。再発防止を徹底する」と陳謝した。

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