厚生労働省が31日に発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0・02ポイント低下し、1・26倍だった。低下は2カ月ぶりで、物価高による収益悪化を背景に製造業などで求人を控える動きが続いている。

  • 人手不足なのに有効求人倍率が低下 採用減らして機械化か

 有効求人倍率は、全国のハローワークに登録している求職者1人あたり何件の求人があるかを示す。有効求職者数は前月比0・3%減の約203万人、有効求人数は同1・3%減の約240万人だった。

最大の減少幅は製造業

 企業の足元の採用意欲を示す新規求人数(原数値)は前年同月より2・3%減った。産業別では、製造業が7・8%減と最も減った。円安による輸入物価の上昇が業績を圧迫しているという。6・3%減だった宿泊・飲食サービス業は、新型コロナ対策の緩和に伴う顧客の増加に対応するため、前年に求人を伸ばした反動が続いているという。

 4月から残業時間の上限規制が適用された業種でも、建設業は3・9%減、トラックなどの運転手が対象となった運輸・郵便業は2・3%減となった。人手不足になる一方、残業代が減って従業員が退職するのを防ぐために給与水準を維持した結果、新たな人を雇う余裕がないという。

 また、総務省が同日発表した4月の完全失業率(季節調整値)は2・6%で、2カ月連続の横ばいだった。(宮川純一)

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