レノボ・ジャパン(東京・千代田)は若者向けにSNSなどのデジタルツールの適切な向き合い方を啓発するキャンペーンを実施すると発表した。現実の世界とオンライン上で異なる人格で振る舞うことで不安や孤独に感じる人が増えているという。独自制作した動画などを通じて自分に合った使い方を考えてもらう。
同社が4月に日本、米国、英国の10〜70代の計5000人を対象に実施した調査では、「Z世代」に含まれる若年層(18〜26歳)の67%が「オンラインと現実の世界で人格が違うと感じる」などと回答した。また、60%が「現実の世界で家族や大切な人との心のつながりを深める対話がしたい」とした。
SNSや動画配信サイト、仮想空間「メタバース」などが日常生活に浸透した。同社によると、デジタル上の方が現実よりも自分らしさを表現しやすいと考える人が増え、その結果、身の回りの人とのつながりや対話が減ってしまい、孤独感や不安感を抱える若者が増加しているという。
啓発動画にはサイズが大きめの服をまとう「プラスサイズモデル」のちなつさんを起用した。「ルックスや年齢、性別に関係なく思ったことを正直に言えるから、現実社会よりSNSの方が自分らしく感じられる」と語るちなつさんの人工知能(AI)アバターがちなつさんの家族と対話し、現実では打ち明けられなかった思いを伝えるという内容だ。
動画は7月10日まで同社公式SNS上において、日本、米国、英国の3カ国で公開する。デジタルツールの利用の利点や欠点を利用者本人が認識し、それぞれに合った使い方をする「デジタルウェルネス」を提案する。
レノボ・ジャパンで最高マーケティング責任者(CMO)を務める竹内早穂子氏は「デジタルと付き合ううえで自分にとって何が幸福な状態なのかを考える、有意義な会話を巻き起こすきっかけになれば」と語った。
今回のキャンペーンは同社のデジタル技術を使って社会問題を解決することを目的として2021年に始まった「Work For Humankind」プロジェクトの一環で、日本では第2弾目となる取り組みだ。
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