消費者物価の上昇率が2%以上で推移する中、日銀は植田総裁のもと金融政策の正常化のタイミングを探ってきましたが、春闘での賃上げの状況などから賃金と物価の好循環が見通せるとして先月、17年ぶりの利上げとなるマイナス金利政策の解除を決めました。

市場では、日銀の情報発信などを通じて地ならしが進み、大きな混乱なく政策転換が行われたと受け止められています。

植田総裁は8日、国会で「昨年度の経済状況はまあまあよいものだったので、政策を簡素化したいという希望をある程度かなえることができた。今後は新しい枠組みのもとで経済状況の変化に適切に対応してきたい」と述べました。

ただ、日本経済は▽実質賃金のマイナスが続いて個人消費に弱さが見られ▽人手不足も深刻化しているほか▽およそ34年ぶりの水準まで円安が進んだことで輸入物価の上昇を通じた影響も懸念されています。

金融市場では年内に次の利上げが行われるという観測が出ていますが、好循環の流れが続くのか、そして、植田総裁が追加の利上げについてどう判断するかが焦点となります。

一方、日銀はこれまでの大規模な緩和策で国債などの資産を大量に購入していて、こうした資産の扱いなど出口政策をどう進めるのかも課題となります。

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