愛知県内に住む30代男性が、30代の同性パートナーと戸籍上同じ名字に変更することを求めた審判を名古屋家裁に申し立て、変更が認められたことがわかった。弁護団によると、家裁は2人の生活実態を「婚姻に準じる関係」と判断したという。同種の事例で変更が認められたのは異例。弁護団が9日、明らかにした。

 弁護団によると、申し立てた鷹見彰一さん(仮名)は2017年、パートナーの大野利政さん(仮名)と公正証書を作成し、法律婚に近い形で財産の取り扱いなどに関する契約を結んだ。同居し23年からは里子も養育している。

 ただ、法律上同性どうしの結婚(同性婚)は現行法では認められていないため、戸籍上の名字は異なるままだった。そのため、病院の受診やマンションのリフォームなどの手続きで2人の関係の確認を求められ、他人に知られたくない性的指向を打ち明けざるを得なくなるリスクがあるなどの支障が生じていたという。

 そのため、鷹見さんは同年11月、家事審判を申し立てた。現行の戸籍法は同性婚を認めていない一方、「やむを得ない事由」があれば家裁の許可を得た後に名字の変更の届け出ができると定めている。

 弁護団によると、家裁は24年3月の審判で、「同性カップルについて、一定程度、異性カップルに対するのと同質の法的保護を与えることは社会通念上許容される」と指摘。2人の生活実態を「婚姻に準じる関係」とし、社会生活上の支障が生じていることを認定して、戸籍法の「やむを得ない事由」に相当する、として名字の変更を認めた。

 弁護団は、「依然として婚姻平等の実現が必要だが、今回の判断で、同性カップルの名字の変更による不利益の解消という選択肢が広がることを期待したい」としている。(高橋俊成)

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