再開発が進む大阪・森之宮地区(手前)。右上は大阪城=共同通信社ヘリから

 水をたたえた濠に囲まれ、国内外からの観光客が絶えない大阪城(大阪市)。その周辺で今、街並みを一新する勢いで再開発が進む。大学の新キャンパスや地下鉄の新駅など大型事業がめじろ押しで、ホテルや飲食店も次々開業。繁華街のキタ(梅田)、ミナミ(難波)に次ぐ成長エリアとして市東部の大阪城一帯「ヒガシ」に、関係者が熱い視線を送っている。(共同通信=平野恭子)

 核となるのは城の東側に広がる森之宮地区だ。ごみ焼却工場などが並んでいたが、老朽化や組織再編で再開発が決定。現在は大阪公立大の森之宮キャンパスが建設中で、2025年秋のオープン後は学生と教職員約6千人が通う予定だ。

 元々JRや複数の地下鉄が交わるポイントだったが、利用客の急増を見越し、大阪メトロは大学近くに新駅を28年にも開業。1万人以上を収容できる新駅直結のアリーナ、屋上に空飛ぶクルマの発着場を備えた駅ビルの建設構想も明らかにされている。

 新駅の前には歩行者中心の広場を設け、公共交通機関を軸とした街づくりを目指すという。

 立命館大の岡井有佳教授(都市計画)は「フランスのパリは『人がいかに快適に過ごせるか』を追求し、人中心の脱クルマ政策が進んでいる。人が街を歩き、憩い、店に入る。経済的にもプラスになった。日本はまだまだ車社会だが、森之宮地区が日本での『人中心の街』の先駆者になるかもしれない」と言う。

 大阪市はキタとミナミを南北に結ぶ御堂筋を中心に発展したが、今後は25年大阪・関西万博の会場となる市西部の夢洲・舞洲と大阪城の東西ラインに期待する声が多い。

 今年5月、大阪城北西の天満橋地区にオープンしたホテル「ダブルツリーbyヒルトン大阪城」は、館内の装飾を『水都大阪』にちなむ川や船の意匠で統一した。前川博之総支配人は「万博を前に大阪はホテルの開業ラッシュ。競争は激しいが、これから大阪城周辺は人の流れが大きく変わる。川や城を一望する立地を生かし、特色を出していきたい」と話した。

大阪城周辺
大阪・森之宮地区で建設が進む大阪公立大の新キャンパス(手前)。奥は大阪城=共同通信社ヘリから

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