広島県福山市の工場で有害物質の六価クロムが含まれる液体槽に猫が落ち、死骸が近くで見つかったことを受け、工場側は今月2日に猫を火葬して供養した、と明らかにした。工場に焼香台を設け、従業員らが弔ったという。

 福山市によると、猫は3月10日夜、同市柳津町3丁目の「野村鍍金(めっき)福山工場」の液体槽に転落したとみられ、足跡を残しながら工場の外へ向かう姿が防犯カメラに映っていた。六価クロムは強酸性で、触れると皮膚がただれる恐れがあるため、市は猫を見つけても触らないよう呼びかけていた。

 それから約20日後の4月30日。約260メートル離れた事業所のプレハブ建物の隙間から猫の死骸が見つかったと、市が発表した。猫に水をかけて採取したものを簡易測定したところ、六価クロムが確認された。市によると、住民らの健康被害は確認されていないという。

 工場では今月2日に猫を火葬。遺骨に六価クロムの成分が残っている可能性があるため、埋葬は見合わせ、安置する場所を検討するという。また、猫などが敷地内に入らないよう、建物の隙間をネットなどでふさぐ対策をとった。同社の担当者は「このような事が二度と起きないようにしたい」と話している。(矢代正晶)

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