東京電力福島第1原発の事故後、福島県や近隣各県から京都府に避難した住民166人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で大阪高裁(牧賢二裁判長)は18日、東電のみが原告92人に計約1億1千万円を支払うよう命じた。国と東電の責任を認めた一審・京都地裁判決を取り消した。

同種訴訟は全国で約30件起こされ、2022年の最高裁判決が国の賠償責任を否定して以降、国への請求を退け、東電だけに賠償を命じる判決が続いている。

牧裁判長は判決理由で、政府機関が02年に地震予測「長期評価」を公表し、同年末時点で津波の到来は予見できたと指摘。一方、東日本大震災での津波ははるかに規模が大きく、国が東電に適切な措置を義務付けても、同様の事故が発生していた可能性が相当にあると判断した。

18年3月の一審・京都地裁判決は「津波を予見できた国が、東電に対応を命じなかったのは違法」と指摘した。避難指示区域外からの避難については独自の基準を示し、原発からの距離や子どもの有無など個別事情を検討。原告149人の避難の相当性を認め、うち東電が賠償などで既に支払った額を考慮し、110人の請求を認容した。〔共同〕

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