能登半島地震の復旧関連工事で、作業員らの労働災害が石川、新潟、富山3県で11月末までに計56件発生したことが17日、厚生労働省への取材で分かった。石川は45件で、新潟は5件、富山6件。死亡事故は石川で3件あった。
建物の解体本格化に伴って労災件数は増加傾向にあり、冬場は降雪などの影響で危険が高まる。石川労働局は業界団体に、安全対策の徹底を求める通知を出した。
石川労働局が石川県内での10月末までの労災事故を分析した結果、家屋解体に関連する工事が最も多く、仮設住宅建設工事が続いた。事故の類型別では、屋根やはしごなどからの「墜落・転落」が最多だった。
9月には、国道249号「中屋トンネル」(石川県輪島市)周辺で地震の復旧工事に当たっていた50代の作業員が、記録的豪雨による土砂崩落に巻き込まれ、倒れたトラックの下敷きになって死亡。10月と11月には、木造家屋の解体工事現場で計2人が犠牲になった。
石川労働局によると、例年は冬場の工事件数減少に比例して事故も少なくなるが、今冬は地震や豪雨からの復興を急ぐため、工事を続けるケースがある。担当者は「冬場は降雪などの影響で作業環境が悪く、事故が起きる可能性が高まる」として、より一層の注意を払うよう呼びかけている。
石川県構造物解体協会は10月以降、労働局と連携して、業者を対象に安全対策の講習を開催。協会の毎田健専務理事は「機械操作時の声かけや周囲の安全確認など、基本的な対策を再確認した」と強調する。年明けには下請け業者も含めた講習をし、事故防止を徹底する考えを示した。
自治体による独自の対策も。珠洲市は雪に不慣れな県外業者の安全を確保するため、来年1〜2月の作業停止を要請した。解体ペースは落ち込む見通しだが、市は「3月以降に業者数を増やすなどして、なるべく遅れが生じないようにする」と説明している。〔共同〕
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