長野県佐久市で2015年に中学3年の男子生徒がはねられ死亡した事故で、道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた男性被告(52)の上告審弁論が13日、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)で開かれ、結審した。判決期日は追って指定される。

弁論は結論を見直すのに必要な手続き。懲役6月の実刑とした地裁判決を否定して逆転無罪とした高裁判決が見直される可能性がある。

一、二審判決によると被告は飲酒運転で事故を起こした後、約100メートル先で車を止めて男子生徒を捜したものの見つからず、近くのコンビニで口臭防止用品を購入して現場に戻った。公判では一連の行動が「救護義務違反」に当たるかが争われた。

この日の弁論で検察側は、救護が必要な状況で捜索を中止し無関係な行為に一定時間を費やした時点でひき逃げの罪が成り立つと主張。弁護側は二審に誤りはないとし、同じ事件を再び裁くことを禁じた「一事不再理」に抵触するとして免訴や公訴棄却にすべきだとも訴えた。

22年11月の一審・長野地裁判決は「罪が少しでも軽くなるよう飲酒の発覚を回避する行動を優先させた」としてひき逃げにあたると判断。23年9月の二審・東京高裁判決は「救護義務を履行する意思は失われていなかった」と一転、無罪とした。

事故は15年3月23日午後10時過ぎ、佐久市内の交差点で発生した。横断歩道を歩行中の和田樹生さん(当時15)が車にひかれ、死亡した。

被告はこの事故を巡り、15年9月に自動車運転処罰法違反(過失運転致死)の罪で禁錮3年、執行猶予5年の有罪判決を受けて確定した。その後、道交法違反(速度超過)の罪にも問われたが公訴棄却となり、22年1月にひき逃げの罪でも起訴された。

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