北朝鮮人権侵害問題啓発週間(10~16日)初日の10日、兵庫県警本部別館7階(神戸市中央区)などで拉致被害者らのパネル展が始まった。この日は1983年に拉致された有本恵子さん(不明当時23)=神戸市出身=の父、明弘さん(96)が会場を訪れ「帰ってきてほしい」と語った。

 パネル展は、2013年から県警が毎年開いている。有本さんと、78年に日本の出国後に行方不明になった田中実さん(不明当時28)=神戸市出身=の県関係の拉致被害者2人のほか、北朝鮮に拉致された可能性がある「特定失踪者」27人の顔写真や不明になった当時の状況を紹介している。

 県警本部別館6階の会場では明弘さんによる約7分間のビデオメッセージを視聴することができる。「助け出すまでもうちょっと待っとけ。必ず助け出す」と有本さんに呼びかけている。

 会場で取材に応じた明弘さんは、有本さんに帰ってきてほしいと話しつつ、「でもむこう(北朝鮮)での生活があるのだろう」と複雑な心境を明かした。

 明弘さんは今回、コメントも発表した。「日本一国の力では拉致問題は解決できないということがはっきりわかりました」とし、解決には「トランプ次期米大統領の力が必要」だと考えているという。

 石破茂首相に対して「トランプ次期大統領と協力して、日本国の最重要課題である拉致問題解決のために全力で取り組んでもらいたい」などと要望している。

 日本政府は有本さんを含む17人を拉致被害者と認定している。県内ではほかに特定失踪者として36人が把握されている。

 パネル展は県警本部別館のほか明石運転免許更新センター、姫路優良・高齢運転者運転免許更新センター、県庁2号館などで開かれている。16日まで(土日除く)。

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