ベルトコンベヤーを流れる「今金男しゃく」(北海道今金町)=2019年11月

 出荷前のジャガイモの緑化を防ぐため、北海道電力が開発した発光ダイオード(LED)照明装置の導入が広がっている。光に当たって緑に変色すると食中毒の原因物質が増えるため食用として販売できず、デンプンの原料にしたり廃棄したりと生産者らにとっては死活問題だった。今後は道外への展開だけでなく、他の農産物への応用も期待されている。(共同通信=竹内大志)

 「ポテライト」と名付けられたLED照明は、明るさを確保する白色LEDと緑化を防ぐ赤色LEDを組み合わせたもの。赤の光は目立たないため、人の目には一般的なLED照明とほぼ変わらない。貯蔵庫は緑化防止で照明を制限しており、作業の安全性や効率性も改善できる。

 2009年ごろ、北海道電力とホクレン農業協同組合連合会(札幌市)との打ち合わせの中で「電気によって抑えることができないか」と提案があったのがきっかけで開発された。2015年からは「今金男しゃく」のブランドで売り出す今金町農協(北海道今金町)などの協力を得て、現場での実証実験が始まった。

 今金町農協によると、年間の販売量約8千トンのうち、これまでは緑化でデンプンなどになるジャガイモが約300トンあったが、導入後は半分ほどに減った。「二つの課題が一気に解消された。救世主のようだ」と同農協の工藤裕之さん(54)は歓迎する。より効果を得られるようにするため、現在も実験を続けている。

 ジャガイモ以外にもポテライト活用の幅を広げようと、2024年3月からは静岡県の企業と協力し、暗い場所で栽培する必要があるホワイトアスパラガスの栽培場で実証実験を始めた。北海道電力は「エネルギーにとどまらず、さまざまな分野の社会課題の解決や地域の発展に貢献できる取り組みを進めていきたい」としている。

北海道電力本店(札幌市中央区)=2014年9月

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