品種登録を受けた高級イチゴ「桃薫」の苗を無許可で販売したなどとして、警視庁生活環境課は3日、岐阜県養老町の会社員、近藤信宏容疑者(64)ら2人を種苗法違反(育成者権の侵害)などの疑いで逮捕し、男女10人を同法違反などの疑いで書類送検したと発表した。
近藤容疑者らの逮捕容疑は2023年10月から24年7月にかけ、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)の許可を得ずに、桃薫の苗をフリーマーケットサイトに出品して他人に譲渡したほか、譲渡目的で苗を保管した疑い。
同課によると、同容疑者は「小遣い稼ぎのために苗を売った」と容疑を認めている。
書類送検された10人も無許可で桃薫の苗をフリマサイトに出品するなどした疑いがある。同課によると「増えすぎた苗を捨てるのがもったいなかった」などと供述している。最初の苗はフリマサイトやホームセンターで入手した人が多いという。
桃薫は農研機構が開発した希少性の高い品種で、桃に似た香りと淡い色を特徴とする。今年2月ごろ農研機構からの情報提供などで違法販売が発覚した。今回の捜査で海外向けに苗が販売されたケースは現時点で確認されていない。
種苗法は品種開発者の権利保護を目的とする。同法に基づき、新品種を農林水産省に出願して登録すると「育成者権」を得られ、当該品種の種苗や収穫物、加工品の販売を独占できる。
育成者権を持つ人から許可を得て販売するホームセンターなどで苗を購入し、趣味や家庭で消費するために栽培するのは問題ない。しかし無断で苗を増やして販売・譲渡するのは育成者権の侵害にあたり同法が禁じている。
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