◆被団協の「基本要求」についてシンポジウム
「読むと、被爆者の歩んだ人生や苦しみ、将来への不安を知ることができる。言葉の裏には被爆者の多くの感情が詰まっている」。シンポに登壇した被団協の浜住治郎事務局次長(78)はこう説いた。策定から今年40年を迎えた「原爆被害者の基本要求」について考えるシンポジウムの様子=東京都千代田区で
被爆者運動の「憲法」とされる基本要求は、1984年11月18日に発表された。「ふたたび被爆者をつくらないために」との思いが込められる。被爆者の証言を交えながら「原爆は人間として死ぬことも、人間らしく生きることも許しません」として、核兵器は「人間として認めることのできない絶対悪」と断ずる。 大きな目標として、「核戦争起こすな、核兵器なくせ」として核配備が進む世界からの核廃絶、「原爆被害者援護法の即時制定」として国家補償に基づく援護を据えている。この二つの要求が実現したとき、「被爆者は初めて『平和の礎』として生きることができる」と訴える。◆策定のウラには「受忍論」への怒りや反発があった
シンポの前半は、被爆者運動を研究する昭和女子大の「戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト」のメンバーが基本要求ができる過程などを解説した。策定のきっかけに、国が1980年に示した「戦争被害は国民が等しく耐え忍ばねばならない」という国家補償を否定する考え方「受忍論」に対する、被爆者たちの怒りや反発があったと説明した。 被団協が調査やアンケートで、全国の...残り 756/1511 文字
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