フィリピンを拠点にしたニセ電話詐欺事件に関与した暴力団系の日本人グループ「JPドラゴン」を巡り、警視庁捜査2課は19日、窃盗の疑いで、グループ幹部で住所・職業不詳の小山智広容疑者(50)ら男3人を逮捕した。認否を明らかにしていない。同日、フィリピンから強制送還された。

◆小山智広容疑者は「かけ子」班のリーダー格か

 ほかに逮捕されたのは、いずれも住所・職業不詳の三浦英世(41)、永浦大輝(26)両容疑者。

犯罪集団「JPドラゴン」幹部でフィリピンから移送された小山智広容疑者ら=19日、成田空港で(須藤英治撮影)

 同課によると、小山容疑者はフィリピンを拠点としたニセ電話詐欺グループで、「かけ子」班のリーダー格だった。フィリピン当局が今年1月、現地での詐欺事件に関与したとして逮捕していた。  小山容疑者は2022〜2023年の一連の連続強盗事件を起こした「ルフィグループ」指示役だった渡辺優樹(40)、今村磨人(40)両被告=いずれも強盗致死罪などで起訴=ともかかわりがあり、今村被告が逮捕されて留置施設にいた際には、接見した弁護士を通じてテレビ電話で通話していたとされる。  逮捕容疑では、小山容疑者は共謀して2019年4月、警察官を名乗って東京都内の50代女性に電話をかけ「口座が不正使用されている」とうそをつき、女性からキャッシュカード8枚を受け取って盗み、現金約70万円を引き出して盗んだとされる。また、三浦、永浦両容疑者も2019年11月、同様の手口で、都内の70代女性からキャッシュカード4枚を盗んだとされる。    ◇

◆「小山容疑者はしゃべりも、人に取り入るのもうまい」

 幹部が新たに逮捕された「JPドラゴン」は、フィリピンを拠点に日本国内でニセ電話詐欺を繰り返していたとみられる。警視庁捜査2課は、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)とみて実態解明を進める。  関係者によると、小山容疑者は、現地でニセ電話詐欺グループの「かけ子」のリーダーをしていたが、2019年11月のグループ摘発前に、今村磨人被告とともにJPドラゴンに移った。JPドラゴンでもかけ子を続け、ナンバー3に取り立てられたという。  ある捜査関係者は「小山容疑者はしゃべりも、人に取り入るのもうまい」と話す。組織は現地当局に賄賂を渡すなどして力を強め、摘発を逃れているとみられ、同じ詐欺グループにいたことのある男性は取材に「(小山容疑者が)当局関係者と店で親しげに飲み食いする姿を見たことがある」と証言した。  捜査関係者によると、小山容疑者らは今村被告とテレビ電話で通話した際、報酬を提示して協力者を確保していた。ニセ電話詐欺も日本に「受け子」などが必要となるため、犯罪の度に報酬で人を集めるトクリュウとみている。  捜査2課は、JPドラゴンが詐欺や別の犯罪に関わっているとの情報を把握している。捜査幹部は「組織は今もフィリピンから詐欺を続けている。組織の実態解明を進める」としている。(昆野夏子、鈴鹿雄大)

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