JR高知駅構内の「セブンイレブンKiosk高知駅店」には、通勤通学客や観光客ら多様な人たちがやってくる。
プリペイドカードを買いに来た高齢の男性は、どこか思い悩んでいる様子だった。
同店アルバイトの谷桃果さん(27)は、ぴんとくるものがあり、声をかけた。
持っていたスマホの画面を見せてもらったところ、「8億円を譲る」「名簿登録のため3千円」といったメッセージが記されていた。
「あ、警察学校で習ったケースだ」
迷いなくほかの社員に相談し、男性を高知署まで案内した。
高知署は4月25日、特殊詐欺の被害を防いだとして谷さんに感謝状を贈った。
谷さんは数年前、高知県警の警察官として採用されたが、すぐに退職した。憧れの仕事だったが、けがなどであきらめざるを得なかった。
せっかく警察官として育ててもらったのに、申し訳ないという思いを抱えていたという。
「ちょっとだけご恩返しができました」
今は、違う道で世の中の役に立ちたいと、専門学校に通って看護師を目指している。(原篤司)
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