静岡市清水区の河川敷で春の風物詩、サクラエビの天日干しが始まっている。暖かな日差しの下、作業者たちが黒い網の上にサクラエビを散らすと、富士山を背に淡いピンク色のじゅうたんが広がった。

 駿河湾では春と秋にサクラエビの漁期があり、6年前から不漁が続いていた。静岡県桜えび漁業組合の調べによると、2017年の春漁の漁獲量は800トン以上だったが、翌年の春漁では300トン台まで減少。その年の秋はサクラエビが規定の大きさまで育たず、休漁を決断した。

 漁業者たちはその後も、操業する船の数を制限したり、産卵前のサクラエビをとりすぎないようにしたりと自主規制を続けてきた。静岡県水産・海洋技術研究所も連携し、日々水揚げされるサクラエビの大きさや成長の度合いなどを分析し、操業に生かしてきた。同研究所によると「漁業者の自主規制の成果もあって漁獲量は回復途中にあるとみられるが、まだ道半ば」という。

 香ばしいエビの香りがする中で作業をしていた水産物の加工・販売などを手がけるマルヨの實石(じついし)直樹社長(43)は今年のサクラエビについて「小さな魚がほとんど交ざっておらず、水揚げはいいと思う」と話す。春と秋に天日干しをするが、春は日差しが強く、早く乾くため「太陽の香りがする」。乾き具合が均等になるように動かし、午後3時ごろには乾燥を終えるという。天日干しは漁期が終わる6月上旬まで続く予定だ。(友永翔大)

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