鹿児島県の奄美地方と沖縄県の沖縄本島北部では8日夜から9日明け方にかけ、暖かく湿った空気が流れ込んで大雨となった。気象庁は鹿児島県与論町(与論島)に出していた大雨特別警報を午後2時に大雨警報に切り替えたが、引き続き土砂災害や低地の浸水、河川の増水に厳重な警戒が必要という。沖縄県大宜味村の一部には一時、5段階の警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」が発令された。

鹿児島県によると、正午時点で人的被害の情報はなく、与論町で床上浸水15棟、床下浸水8棟、崖崩れ1カ所が確認されている。

奄美地方と沖縄本島北部では発達した雨雲が連なる線状降水帯が発生し、1時間雨量が110~120ミリとの記録的短時間大雨情報が相次いで出された。与論町では9日午前8時20分までの24時間雨量が594.0ミリ、沖縄県の東村でも午後2時20分までの同雨量が483.0ミリと、いずれの地点も観測史上最多となった。

日本列島が高気圧に覆われる一方、フィリピンの東海上に低気圧、西海上に台風22号があり、奄美地方や沖縄本島北部には東や南東から暖かく湿った空気が流れ込んだ。

気象庁の杉本悟史予報課長は記者会見で、「11月に大雨特別警報を発表するのは初めてだが、南西諸島ではこの季節でも暖かく湿った空気が海上にある」と説明した。海面水温が平年より高いことも影響したと推測できるという。

大雨により発生した県道での崖崩れ=9日午前、鹿児島県与論町(同県提供)

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