公立学校教員に残業代を支払わない代わりに、基本給の4%に当たる教職調整額を上乗せする教員給与特別措置法(給特法)について、現職教員らで作る有志の会が8日、都内で会見した。文部科学省は教職調整額の増額案を示しているが「これで残業は減らない。手取りを増やすより残業が抑制される改革を」と同法の廃止か抜本改善を求めた。  文部科学省は教職調整額を13%に増やす案をまとめ、2025年度予算の概算要求で関連費を計上している。

「手取りを増やすよりも残業を減らす改革を」と訴える岐阜県立高教員の西村祐二さん(右)とワーク・ライフバランスの小室淑恵社長=東京・霞が関の文部科学省で(榎本哲也撮影)

 一方、政府内では将来的に教職調整額を廃止し、残業時間に応じた手当を支払う仕組みに移行する案が浮上している。  有志の会は、給特法は「定額働かせ放題の温床」だとして廃止などを求める署名を続けている。今回、同法を巡る報道が相次いだことを受け、会見した。  同会の呼びかけ人の一人で岐阜県立高教員、西村祐二さん(45)は「文科省案では10年、20年たっても残業は減らない。原則、残業はあってはならない。残業が生じたら(残業代支給で)貴重な税金が失われると、管理職も教師も一丸となって働き方改革に取り組むことで、残業は減らせる」と訴えた。  働き方改革に取り組むコンサルタント会社「ワーク・ライフバランス」の小室淑恵社長は、働き方改革を怠った結果、人手不足が深刻となっている他業界を例に挙げ、「労働時間と連動して残業代が支払われない業界は、若者から敬遠される」と指摘。政府に給特法廃止の方向性を示すことを求めた。(榎本哲也) 

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