◆「危険」「ワーニング」スピーカーで流しながら党本部に接近
再逮捕容疑では、10月19日午前5時45分ごろ、東京都千代田区永田町の自民党本部の正門前で、党本部に向けて火炎瓶を5本程度投げたとされる。公安部の調べに、黙秘を続けている。車が突っ込み騒然とする首相官邸前=10月19日、東京・永田町で(河口貞史撮影)
臼田容疑者は前日夜に軽ワゴン車で自宅を出発。事件直前には「危険」「ワーニング」などとスピーカーで流しながら党本部に接近。停車し火炎瓶を投げた後、車で逃走した。約600メートル離れた首相官邸前の防護柵に突入して停車後、発炎筒などを投げ付け、車内に火を付けた。警察官に銃を向けられて投降し、現行犯逮捕された。 党本部前で警戒中の機動隊員3人が煙を吸うなどし、喉に軽いけがを負った。車内からはガソリン入りのポリタンク(容量18リットル)16個やカセットコンロ用ガスボンベが見つかっている。 臼田容疑者のものとみられるX(旧ツイッター)には、「暴れる力で社会を変えよう」「選挙供託金制度を廃止しろ」などの書き込みがあった。公安部が動機を調べている。◆正体不明の液体も散布…警官も「通常装備では容易に近づけない」
事件は、政治の中枢施設が立て続けに襲われ、容疑者を取り押さえるまでに10分弱を要した。警視庁幹部は「重装備の容疑者がどんな行動に出るか分からない中、難しい対応を迫られた」と話す。 自民党本部、首相官邸とも、当時対応したのは日常の警備に当たる警察官で、不審者の侵入を防ぐことなどが任務。臼田容疑者は党本部前ではガスマスクに防護服姿で、正体不明の液体も散布し、「取り押さえようにも、通常装備では容易に近づけない」(幹部)状況だった。容疑者は党本部から官邸方向に向かったため、すぐに無線で官邸の警備担当に情報共有し、警戒の準備を急いだという。 幹部は「侵入はさせず、人的被害も最小限に抑えることはできた」としつつも「刃物や爆弾の使用など、今後ともあらゆる想定パターンで訓練を徹底し、警備体制も不断の見直しを続けていく」と強調した。(小倉貞俊)
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