名古屋矯正管区などによりますと、おととし名古屋刑務所で服役中に死亡した71歳の男性受刑者に対し、20代から40代の刑務官6人が「どあほ」「ばか」などと暴言を吐いたり、男性からお茶を求められてもほとんど空のコップを渡すなど不適切な対応をしたりしていたということです。
また、30代の刑務官が、病気で意思疎通が難しくなっていた男性に必要な説明をしないまま、勝手に指印を書類に押していたということです。
名古屋刑務所はこのうち30代の刑務官を6日、私印不正使用の疑いで書類送検して戒告の処分とし、ほかの刑務官6人についても、厳重注意などにしたということです。
7人はいずれも事実関係を認めているということです。
名古屋刑務所では、おととし9月までのおよそ1年間に、刑務官が3人の受刑者に暴行や不適切な処遇を繰り返していたことが明らかになりましたが、この問題の調査が終わったあとに今回の問題が明らかになったということです。
会見で、名古屋矯正管区の山本英博 第一部長は、「複数の職員が不適正な処遇をしていたことは誠に遺憾であり、被害者はじめ関係者に深くおわびする。昨年4月に公表した暴行事案と同時期に発生していたことを大変重く受け止めている」と謝罪しました。
男性受刑者の遺族「訴訟の争い方も見直しを」
刑務官から不適切な対応を受けていた71歳の男性受刑者は、服役中のおととし3月に心筋梗塞による多臓器不全で死亡していて、男性の遺族は、「体調不良を訴えていたのに適切な医療を受けられなかった」として国に合わせて3800万円余りの賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしています。
一方、国は、対応は違法ではないなどとして訴えを退けるよう求めています。
男性の弟は、「暴言など不適切な処遇のなかで、兄が痛みを訴えてもまともな対応をしてもらえなかったのだと思います。訴訟の争い方も見直していただきたい」と話していました。
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