<シリーズ 検証マイナ保険証> 今年1~10月に発生した歯科医院の倒産と休廃業・解散の件数が126件だったことが、帝国データバンクの調べで分かった。昨年1年間の件数(104件)を超えて過去最多を更新した。 経営者の高齢化と、マイナ保険証を使うオンライン資格確認の原則義務化に伴う設備投資も一因とみられる。

◆前年比1.8倍、医師の高齢化も目立つ

帝国データバンクによると、今年10月までに発生した倒産(負債1000万円以上、法的整理)が25件、休廃業・解散(廃業)は101件だった。前年同期(70件)比1.8倍の記録的なハイペースで淘汰(とうた)が進んでいる。 要因としては、歯科医師の高齢化による廃業が目立っているという。今年、休廃業・解散となった歯科医院の代表者の平均年齢は69.3歳。最高齢は90歳超と、集計可能な2016年以降で最高を記録した。 歯科衛生士の人手不足や後継者難に加え、虫歯治療に用いる銀など材料費の値上げが重なり収益環境も厳しい状況が続いている。

◆補助金あっても維持費までは

さらに、昨年4月からマイナ保険証に対応した関連設備の導入などが求められ、新たな設備投資が必要となったことも廃業が増加した要因の一つとみている。

マイナ保険証の情報を読み取るカードリーダー

複数の歯科医師によると、マイナ保険証を利用するための設備の初期導入経費は、ほぼ補助金でまかなえる。 しかし、電子カルテやそれに対応する院内パソコンなど今後、更新が必須となる機器の維持経費を考慮し、廃業を決断する歯科医師も多いという。(長久保宏美)      ◇ マイナ保険証に関する情報やご意見をお寄せください。メールはtdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」へ。 

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