東京都西東京市などに音楽や地域情報を発信するコミュニティーFM「FM西東京」の送信機1台が、今夏の落雷で故障したままになっており、綱渡りの放送が続いている。同社は、新しい送信機などを購入するための費用を募るクラウドファンディングに挑戦中。寄付者には、ラジオパーソナリティーの体験やリクエスト曲の放送などラジオ局ならではのリターンを用意している。(岡本太)

落雷で故障した送信機(上)と、現在接続している予備機

 落雷があったのは7月6日の午後4時ごろ。市内の本社スタジオ近くに落ちた雷の電気が、屋外のケーブルを伝って建物内に入り込み、接続していた送信機などが故障した。放送は予備機への交換が完了するまで約33分間中断した。

◆「災害時に放送できない事態を防ぎたい」

 送信機は、生放送や収録済みの番組の音声データを電波に変換するための機材で、同社では1998年の開局時に2台を購入。1台は予備機とし、入れ替えながらメンテナンスして放送を続けてきた。ところが、今回の落雷による故障は修復できず、現在は1台のみで放送を続けている。

落雷で送信機が故障し、予備機で放送を続ける大塚誠さん=いずれも東京都西東京市で

 同社の大塚誠総括部長は「使用中の1台もかなり老朽化しており、いつ故障してもおかしくない。災害時に放送できないという事態を防ぐためにも、少しでも早く2台体制に戻したい」と話す。ただ同社の経営状況は全国のコミュニティーFMと同様厳しく、機材購入のハードルは高いという。

◆15日まで、目標額300万円

 クラウドファンディングの目標額は300万円。達成した場合、故障した送信機のほか、老朽化した機材の買い換えに充てる。6日時点での寄付総額は約242万円。詳しくは同社のウェブサイトで。  FM西東京は市内のスタジオで収録し、スカイタワー西東京(田無タワー)から電波を送っている。東日本大震災では緊急放送を実施し、市内の被災状況や帰宅困難者への情報提供などを続けた。 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。