政府が経済対策として2022年度に組んだ31兆円超の補正予算の執行状況を会計検査院が検査したところ、少なくとも34事業の予算計1兆4873億円全額を23年度に繰り越していたことが6日、分かった。「まず規模ありき」で予算が組まれた実態が露呈した。
政府は20年度以降、新型コロナウイルス感染症や物価高などへの対応を掲げ、巨額の補正予算を組んでいる。19年度までの4年間の補正予算は2〜6兆円台で推移していたが、20年度は79兆円超、21年度は37兆円超に急増した。
コロナによる混乱が収束に向かいつつあった22年度も補正予算が2回組まれ、総額32兆円7005億円が計上された。全体の97%を経済対策が占めた。
検査院は22年度の補正予算で経済対策として盛り込まれた1218事業のうち、補正予算の使われ方を確認できる138事業(予算額計18兆8597億円)を対象に執行状況を検査した。金額ベースで全体の46%にあたる8兆6221億円は23年度に繰り越されていた。
34の事業は全額が繰り越され、23年度に計1兆2358億円分の予算として計上された。そのうち5985億円は使う必要がなくなった「不用額」となった。
例えばコロナ禍で従業員を休業させた企業に助成する「雇用調整助成金」は22年度の補正予算分の226億円全額が23年度に繰り越され、最終的に不用額となった。
所管する厚生労働省は検査院に対し、助成の申請が当初想定より少なかったことなどを理由として説明しているという。
補正予算の多くは国債の発行で賄われてきた。補正予算で計上された公債金は23年度までの8年間で計約148兆6000億円で、税収などを含めた全体の財源の74.5%を占める。国債発行の増加は将来世代の負担につながる。
補正予算は災害などの緊急対策の名目で編成されるが、当初予算より見積もりと査定が甘くなりやすいと指摘される。検査院は「補正予算の執行状況について引き続き注視していく」としている。
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