商品が並ぶnakyaの店内で、オススメを手に持つ古畑紫さん=石川県輪島市で
輪島市河井町の商店街「馬場崎(ばんばざき)通り」。古畑さんが商店街の組合事務所で数学を勉強していると、店の来客を知らせる呼び鈴が鳴った。歩いて1分の場所にあるnakyaに向かい、商品を見ている客に声をかけた。「いらっしゃいませ、店長です」 小学5年の頃から、ほとんど学校に行けなくなり「外に出ることが苦手だった」と明かす。しかし地震後、ボランティアが懸命に復旧作業をしている姿を見て「このままではまずい」と感じたという。◆売り上げで憩いの場「復興公園」づくりを
高校進学を目指して頼ったのが、地震前からの知り合いだった馬場崎商店会の青年部長で、塾講師の鈴木翔太さん(39)。6月から、テキストやプリントを使って小学5年の算数から教えてくれた。同時に鈴木さんが提案したのが、地域貢献活動としての古着店の「店長」。売り上げで住民の憩いの場「復興公園」をつくることになった。 nakyaは昨年10月、当時高校3年だった女子生徒が「服を買う場所がない。なきゃ作ろう」とひらめいて開いた。鈴木さんは当初から活動をサポート。だが地震で休業し、女子生徒が4月に進学で輪島を離れたため、店長が不在になっていた。 鈴木さんは「勉強だけではなく、いろいろな人と関わって社会を広げてほしい」と古畑さんに店長への就任を打診。8月2日に店を再開できた。◆初月の売上げで軽トラ1杯分の砂利など購入
店内には人気アニメキャラクターをプリントしたTシャツやデニムのパンツ、雑貨やアクセサリーなど約200点が並ぶ。価格は100~4000円ほど。利益は商品の仕入れと家賃1万円、公園づくりに必要な材料などの購入に充てている。再開後はボランティアの来店が多く、初めの1カ月で利益は6万円と順調な滑り出し。最初に、公園の地面を固める道具と、軽トラック1杯分の砂利を買った。店の売り上げでつくっている「復興公園」=石川県輪島市で
公園があるのは、建物の解体後に更地になった商店街の一角。仮設住宅の建設ではがされた市内の陸上競技場の人工芝を無償で譲り受けて敷いた。バーベキューをしたり、テントを立ててボランティアの宿泊場所になったりしている。 古畑さんは「外の社会も悪くないと思えた。輪島の復興第一歩に向けて頑張りたい。市外からも古着を買いに来てほしい」と話している。午前11時~午後6時まで。nakyaについてインスタグラムでも発信している。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。