大分市内の一般道で2021年、時速約194キロで乗用車を運転し右折車と衝突、男性会社員(当時50)を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪に問われた男性被告(23)は5日、大分地裁(辛島靖崇裁判長)の裁判員裁判初公判で起訴内容に関し「よく分かりません」と述べ、弁護側は同法違反(過失致死)罪の適用を訴えた。判決は28日。

22年12月、同法違反の過失致死罪から訴因変更されていた。検察側はその際、危険運転罪の要件のうち「進行制御困難な高速度」と「妨害目的」の2類型を適用した。

検察側は冒頭陳述で、約194キロで走行した場合、道路状況によってハンドルやブレーキ操作を誤る可能性があり、制御困難だったと主張。対向から右折車が来ることを前提とした道路構造で、妨害となるのが確実と認識していたと指摘した。

弁護側は、事故までは車線を逸脱せず直進できており、通行を積極的に妨害する意図もなかったと反論した。被告は「(死亡した)小柳憲さんとご遺族に心より謝罪します」と述べた。

小柳さんの姉、長文恵さんは閉廷後、事故時の様子が映った映像や小柳さんの着衣の写真などを法廷で見て、弟の痛みを想像して涙があふれたと明かした。記者会見で「うっかり起きた過失と一緒にされたら困る」と語気を強め「過失のわけがない」と憤った。

起訴状によると、21年2月9日午後11時ごろ、上限が法定速度の時速60キロと定められた県道交差点を、対向から右折する車を妨害する目的で、制御困難な時速約194キロで進入。小柳さんの車に衝突して死亡させたとしている。

同法違反の過失致死罪で在宅起訴後、遺族はより法定刑の重い危険運転罪適用を求め、大分地検に署名を提出。その後、地検が地裁に訴因変更を請求した。〔共同〕

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