花鳥画の第一人者として知られる日本画家で、日本芸術院会員の上村淳之(うえむら・あつし、本名淳=あつし)さんが1日、老衰のため死去した。91歳。京都市出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は次男隆司(たかし)さん。 日本画家の家系に育った。祖母は近代美人画の代表的な画家で、女性初の文化勲章受章者の上村松園さん。父も花鳥画を得意とした上村松篁(しょうこう)さんで、3代続けて文化勲章を受けた。 京都市立美術大(現京都市立芸術大)卒。幼くして鳥の美しさに引かれ、自宅でおびただしい数の鳥を飼育。その気持ちに寄り添い、鳥を画題に多くの作品を生み出した。西洋絵画と異なる、東洋の象徴的な空間表現を追究。花鳥画に新風を吹き込み、第一人者として活躍した。1995年「雁金(かりがね)」で日本芸術院賞。2002年には日本芸術院会員に選ばれた。 平城遷都1300年に当たる10年には、奈良市の平城京跡に復元された大極殿に、朱雀(すざく)などの四神や十二支の壁画を完成させた。13年に新装開場した東京・歌舞伎座の緞帳(どんちょう)の原画なども手がけた。同年、文化功労者に選ばれた。 京都市立芸術大の教授、副学長などを歴任。上村家3代の作品を収める松伯美術館(奈良市)の館長や、創画会理事長も務めた。20年旭日中綬章、22年文化勲章。主な作品に「晨(しん)」「水辺の四季」「四季花鳥図」「月汀」など。
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