「来ないで」と異例の呼びかけがあったハロウィーン(10月31日)の東京・渋谷と新宿の繁華街で、大きなトラブルはなかった。だが、呼びかけにもかかわらず、渋谷区中心部の人出は昨年に比べて2割増加。1日に会見した長谷部健区長は「仮装している外国人が多かったのが、昨年と大きく変わったところ」と述べ、外国人観光客への「ハロウィーン目的で来ない」ことの周知を課題に挙げた。(浜崎陽介)

◆渋谷周辺は「昨年の2割増」

 これまでのハロウィーンで多くの人が押し寄せ、トラブルや大量のごみに悩まされてきた両区。繁華街の夜の路上飲酒を、渋谷区は2019年からこの時期に、今年からは通年で禁止。新宿区は今年のハロウィーンで禁止した。

警察官が注意を呼びかける中、スクランブル交差点を行き交う人たち=10月31日夜、東京都渋谷区(布藤哲矢撮影)

 渋谷区によると、今年10月31日午後10時のピークに、渋谷センター街や道玄坂を訪れたのは約1万8000人。1万5000人だった昨年の同時間帯に比べて2割増えた。仮装した人の近くに写真を撮ろうとする人が集まるなどし、長谷部区長は大幅に減った昨年と比べ「少し逆戻りした印象がある」と感想を述べた。  仮装した外国人はインバウンド(訪日客)が多いとみられる。長谷部区長はオーバーツーリズム(観光公害)対策として、都や国、海外メディアに協力を求めていく考えを示した。  31日夜〜1日朝に渋谷駅周辺で集められたごみの量は887キロで、昨年の1725キロの半分ほど。路上飲酒の人は昨年の約300人から約200人に減った。ハロウィーン対策の予算は警備の委託日数を減らしたため、昨年の約8800万円から約6800万円に減る見込み。

◆新宿「大きな混乱なく」 池袋「仮装した人を見かけたが」

 昨年は渋谷から多くの人が流れた新宿区では、職員と民間警備員計100人でパトロールを実施。路上飲酒者への声かけやごみの回収をした。歌舞伎町では仮装をした人が多く見られたものの、吉住健一区長は「路上飲酒への声かけはおおむね協力的で、大きな事故や混乱もなく終えることができた」とコメントした。  繁華街・池袋を抱える豊島区も警備を強化。区担当者によると、街中で仮装をした人を見かけたが、トラブルはなかった。「万が一ということで警戒したが、通常の人出と変わらなかった」と話した。渋谷、新宿、池袋の3署によると、ハロウィーンに関連した摘発例はなかった。 

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