広島市の80代夫婦宅が放火され現金約2600万円が奪われた事件で、強盗殺人未遂と現住建造物等放火の疑いで逮捕された梶原優星容疑者(29)は元野村証券社員で、「金を盗んだ」と供述していることが1日、広島県警への取材で分かった。会社の肩書を利用し個人的な投資に充てようとしたとみられるという。
県警によると、殺意や放火は否認している。
容疑者は事件当時、野村証券の社員だったが、個人で為替相場の変動などを予想し投資をしていた。複数の顧客から業務外に集めた金を資金に充てていた可能性がある。
事件当日、夫婦は現金入りのボストンバッグを自宅に用意しており、容疑者は計画的に夫婦宅を訪問したとみて捜査を進める。
容疑者の弁護人は取材に対し「事件当日は仕事ではなく、投資で利益が出たお祝いで、夫婦宅で食事をした」と説明。「妻の酒に睡眠薬を入れたが、夫には使っておらず、火も付けていない」と主張した。
事件は7月28日午後5時35分〜7時45分ごろ、広島市西区の夫婦宅で発生。夫婦は逃げて無事だった。
野村証券元社員の逮捕を受け、同社を傘下に持つ野村ホールディングス(HD)の北村巧財務統括責任者は1日の決算記者会見で「元社員が逮捕されたことは極めて遺憾。信頼回復に努めたい」と謝罪した。捜査中であることを理由に、詳細な説明は控えた。
野村証券は国債の先物取引で相場操縦したとして、金融庁から10月30日付で課徴金納付命令を受けたばかりで、不祥事が続いている。北村氏は「私たち一人ひとりが自らの行動に責任を持って仕事に取り組み、社会的役割を全うしたい」と述べた。〔共同〕
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。