東京都小金井市で2016年、音楽活動中にファンの男に刺されて一時重体になった冨田真由さんが、ストーカー被害を相談していたのに警視庁が必要な捜査を怠ったなどとして、都などに計約7600万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が30日、東京地裁であった。冨田さん自身が証言に立ち「私と同じように不安や恐怖を感じている人たちが、安心できる世の中になってほしいとの思いで裁判を始めた」と語った。
冨田さんは事件前、男がブログに殺害をほのめかす書き込みをするなどしたため、警視庁に相談していた。当時対応した警察官が訴訟の中で「相談の際『殺されるかもしれない』とは聞かなかった」などと述べ、切迫した内容ではなかったと主張したことに対し、冨田さんは「私が必死で訴えた言葉をなかったことにされ、すごく悲しく、傷ついた」と話した。
19年7月の提訴から約5年。警視庁は事件後、早急な安全確保が必要と判断すべきだったとの検証結果を公表し、冨田さんに謝罪した。だが訴訟では賠償責任を否定し、審理は長期化している。
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