2015年に長野県佐久市で中学3年の和田樹生(みきお)さん(当時15)が車にはねられて死亡した事故をめぐり、道路交通法違反(ひき逃げ)の罪に問われた男性被告(51)の上告審で、最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)は検察側、被告側双方の主張を聞く弁論を12月13日に開くと決めた。弁論は二審の結論を変えるのに必要な手続きで、被告を逆転無罪とした東京高裁判決が見直される可能性がある。
高裁判決によると、飲酒運転をしていた被告は事故後、現場から約95メートル先で停車して現場に戻ったが、男子生徒が見つからなかった。その後、酒の臭いを消すため車から50メートル先のコンビニで口臭防止用品を買って服用。再び現場に戻る途中で男子生徒を見つけ、自ら人工呼吸をしたが亡くなった。
裁判では、コンビニに行った2~3分間の行動が「救護義務」の違反にあたるかが主に争われた。一審・長野地裁は違反を認めて懲役6カ月としたが、二審は「救護義務を果たす意思は失っていなかった」として無罪とした。検察側が上告していた。
男性被告は、この事故をめぐって罪名が異なる三つの裁判にかけられた。15年に自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪で禁錮3年執行猶予5年の有罪判決が確定。18年には速度超過の罪で再び起訴されたが、手続き面の不備で裁判を打ち切る公訴棄却の判決となった。
今回、最高裁で審理されるひき逃げの罪は、長野地検がいったん不起訴としたが、検察審査会の「不起訴不当」の議決などを経て、22年に起訴していた。(遠藤隆史)
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