東京電力福島第1原発事故で、2号機で溶け落ちた核燃料(デブリ)の微量採取計画がカメラの不具合で中断した問題で、東京電力は28日、約1カ月ぶりに採取作業を再開した。計画では8月22日に着手予定だったが、パイプをつなぐ順番を間違えて延期。改めて着手した後の9月17日には、カメラ映像が見えなくなり中断した。今回は3度目の挑戦になる。

◆回収は3g以下、堆積デブリは推計880トンあるが…

デブリの微量採取に向け、装置のパイプを押し込むための準備をする作業員ら(東京電力提供)

 東京電力によると、28日午前8時40分ごろに作業を開始。原子炉建屋内のデブリが堆積する格納容器に隣接するスペースで、作業員が釣りざお式の採取装置が入る収納箱にパイプを押し込み、釣りざおのさおに当たるアームを格納容器まで伸ばした。着手から回収まで、2週間弱かかる見通し。  カメラの不具合の原因は、高い放射線下でカメラの電源を作業途中に切ったことで帯電した可能性が高いとして、今回は電源を入れたまま作業を続ける。東京電力の担当者は「作業を習熟したので、回収は早まるかもしれない。安全最優先で進める」とした。  計画では、格納容器内の圧力容器下部付近までアームを伸ばし、釣り糸のように装置の棒を垂らし、はさみのような器具で小石状のデブリをつかむ。回収する量は3グラム以下。作業員の被ばく量を毎時24ミリシーベルト以内とし、超えた場合はやり直す可能性がある。  東京電力は、デブリを茨城県内の日本原子力研究開発機構の施設に運び、成分や構造を分析して炉内状況を推定するなどし、本格的な取り出しにつなげたい考え。  ただ、1~3号機に堆積するデブリは計880トンあると推計され、今回の微量採取が役に立つのかは分からない。本格的な取り出し方法も検討しているものの、決定打にはなっていない。(荒井六貴、山下葉月) 

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