中央大学 中北教授”自民党の対応への不満があらわれた”

日本の政党政治を研究する中央大学の中北浩爾教授は「やはり裏金問題が自民党にとって大きなダメージになった。国民生活は物価高に直撃され、インボイス制度の導入などで厳格な対応が求められているにもかかわらず、法律を作る国会議員が法律を破っていることが明るみになり、自民党の対応への国民の不満が今回の選挙結果に表れた。自民党のひとり負けという結果だった」と指摘しています。

その上で「石破氏に対しては裏金や旧統一教会などの問題について厳しく対処してほしいという国民の声があったと考えているが、総理大臣就任後は対応が迷走しているように見えた。不記載の議員らの公認問題のほか、非公認の候補者側にも2000万円を支給していた問題が発覚し、『裏金問題への対応が甘いのではないか』という批判が高まった。解散のタイミングについても発言のぶれがあり、国民の不信をあおったのではないか」と分析しました。

今後の政権運営については「政権が不安定化すると『国会をどうしのごうか』という短期的な判断の積み重ねしかできなくなり、日本が抱える少子高齢化の問題や地方創生など、中長期的なビジョンで安定的に政策を進めることが難しくなることが危惧される。今は、不安定な与党と野党が均衡している状態で、当面はこうした形で推移していくことが予想される」と指摘しています。

そして「国民の信頼がなければ政策遂行できないので、今回の選挙で裏金問題が議論されたのは必要なプロセスだった。ただ、政治とカネの問題が解決すれば日本が抱えるさまざまな課題が解決するわけではない。来年の参議院選挙に向けて各党が政策論争や準備をどう進めていくのか、しっかり見ていく必要がある」と話しています。

駿河台大学 成田名誉教授”多様な声が届きやすくなる面も”

政治学者で、駿河台大学の成田憲彦名誉教授は「今回の選挙結果は政治とカネの問題を世論が厳しく糾弾した結果だ。野党の政党支持率が与党を上回らない状態で今回の結果になったことは、政府の失敗に対する国民の評価が現れたのだと思う」と指摘しました。

成田さんは、1993年の衆議院選挙で自民党が過半数を割り込んだ結果、樹立された細川連立内閣で、総理秘書官を務めました。

その際の経験を踏まえた上で、「世論が後押しして、政治改革をすべきという流れになった意味では、細川内閣が成立した時と非常に似ている。今後は少数与党として、これまでよりも国民の目を意識した政権運営をやっていくことになると思う。より多様な国民の声が届きやすくなる面もあるので、国民は政治に対していろいろな要求をしていくべきだ」と話していました。

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