タイ中部チョンブリの動物園で2024年7月に生まれたコビトカバの子どもが、愛らしい姿から空前のブームになった。名前は一風変わっており、タイ料理の豚団子を意味する「ムーデン」。成育後も小柄な希少種で、交流サイト(SNS)の写真や動画で人気に火が付いた。海外メディアも続々と紹介し、外国人観光客も訪れた。(共同通信バンコク支局=伊藤元輝)
「ムーデン、ムーデン!」。カオキアオ動物園のカバ舎には連日人だかりができ、子どもたちが子カバに呼びかける。ひょこひょこと歩いたり、水中に潜ったりする姿に歓声が上がり、スマートフォンを持った人たちの手がフェンス越しに一斉に動いた。
担当者によると、ムーデンは雌で、絶滅の恐れがあるとしてワシントン条約で保護対象下にある種だという。世界で推定3千頭程度しか生息しないとされ「子の誕生は貴重だ。動物園のスターにもなってくれた」と喜んだ。
名前は2024年8月にフェイスブック上の投票で決定。ムーデンのもちもち感のある体つきと、豚団子の食感のイメージが重なると好評だ。くりくりとした目や、短い足で時に走り出す姿にファンは「かわいい」と夢中になっている。
動物園の来場者は平日に4千人、週末は1万人に達し、ムーデン人気の前と比べて倍増。インフルエンサーが動物園のSNS投稿を転載し、米CNNテレビや英BBC放送などが取り上げて「世界的人気」(タイメディア)になった。
動物園は首都バンコクと人気リゾートのパタヤとの中間地点にあり、外国人観光客も訪れやすい。家族で来たロシア人女性は「予定を変更して立ち寄った。写真の通り愛くるしい」と笑顔。動物園の担当者は人気に乗じ、ムーデン柄のシャツやパンツを発売する計画を明かした。
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