東京都台東区の夫婦が次女と夫の姉に有毒な化学物質のエチレングリコールを飲ませて殺害したとして逮捕された事件で、警視庁捜査1課は25日、6年前に死亡した夫の父も殺害したとして、元ホテル運営会社社長の細谷健一(43)と妻志保(38)の両被告=いずれも姉への殺人罪で起訴=を殺人容疑で再逮捕することが、捜査関係者への取材で分かった。

◆次女4歳、夫の姉41歳、夫の父73歳、夫の母68歳が相次ぎ亡くなる

 捜査1課は、次女と姉を殺害したとされる手口と同様に、父親にエチレングリコールを飲ませたとみて調べる。  捜査関係者によると、父勇さん=当時(73)=にエチレングリコールを何らかの方法で飲ませ、2018年6月5日、台東区内の病院で殺害した疑いが持たれている。勇さんは2017年3月から入退院を繰り返していた。同課は病院が保管していた検査記録なども調べ、両被告が殺害した疑いがあると特定した。  両被告は、昨年3月に次女美輝(よしき)ちゃん=同(4)=にエチレングリコールなどを飲ませて殺害したとして、今年2月に殺人容疑で逮捕された。3月には、2018年4月ごろに姉美奈子さん=同(41)=も同様の手口で殺害したとして、同容疑で再逮捕。東京地検は鑑定留置して調べた結果、刑事責任能力があると判断し、9月に美奈子さんに対する殺人罪で起訴した。美輝ちゃんへの容疑でも捜査を続けている。  健一被告の母も2018年1月に68歳で死亡しており、同課が経緯を調べている。

◆「健一ばかりかわいがる」と言われた父勇さん

 細谷健一被告は、会社経営者の父勇さんから後継者として期待をされていたが、関係者によると、2009年に志保被告と結婚した頃から、親子関係が悪化していったとみられる。  勇さんは東京・浅草で革製品の加工販売会社を営み、末っ子で長男の健一被告に愛情を注いだ。家族の間で「健一ばかりかわいがる」と言われるほどだった。  家族ぐるみで付き合いのあった男性(83)は「日帰りスキーに高校生くらいになった息子(健一被告)も連れて来た。親子仲は良かった」と語る。  勇さんらの反対を押し切り、両被告が結婚したころから関係が悪化した。衝突が重なった時期には「勘当状態だった」という。  両被告の間に子どもが生まれた際、勇さんは「やはり後継ぎにしたい」と考え、知人の力を借りて関係を修復したこともあった。2012年に新たに始めたホテルの運営を健一被告に任せたものの、金銭管理の面などから再び仲たがいした。  ホテルの増築を巡り、2018年4月中旬、勇さんは入院先の病院内で建設会社と契約を結んだ。その場に健一被告も同席していたという。1カ月余たってから、勇さんが死亡し、健一被告が会社を継いだ。(鈴鹿雄大、米田怜央) 

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