過去3回にわたり難民申請を退けられたアフリカ出身の男性(48)が処分の取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は24日の判決で、国の不認定処分を取り消した。判決が確定すれば、国は難民認定の審査をやり直す。

◆改正入管難民法では3回目以降の難民申請者は「強制送還」対象

判決を受けて記者会見するアフリカ出身の男性=東京都千代田区

 名古屋高裁も今年1月に、国に対し、過去4回にわたって難民申請を不認定としたミャンマー出身の男性を難民と認定するよう命じた。今年6月施行の改正入管難民法は、3回目以降の難民申請者は申請中であっても強制送還できるよう基準を厳格化したが、難民の認定基準と法改正の正当性が揺らいでいる。  アフリカ出身の男性は、母国で野党の支援者として活動。3回逮捕されたほか、軍にも拘束されるなどしたため、2008年に来日し難民申請を続けている。2016年に帰国した妻は、出産した子どもとともに軍の施設で拘束されているという。しかし、出入国在留管理庁(入管庁)は男性を難民として認めず2021年に3回目の難民不認定決定を下した。  品田幸男裁判長は判決で、「帰国すれば迫害を受ける可能性がある」として、男性は入管難民法上の難民に該当すると判断した。

◆アフリカ男性「16年間苦しみ続けてきた。認められてよかった」

「活動家の妻が行方不明になっている」と報じるアフリカ出身の男性の母国の新聞記事。妻は軍の施設に拘留されていた。(原告の代理人提供)

 男性の代理人の渡辺彰悟弁護士は判決を受けて記者会見し、「現行制度では迫害される危険がある人を強制送還してしまう恐れがあることが明白になった」と強調。「難民申請中に強制送還を可能とする制度は廃止するべきだ」と指摘した。  男性は「16年間苦しみ続けてきたが、やっと難民として認められてよかった」と語った。  入管庁は控訴について「判決内容を精査して対応したい」としている。(池尾伸一) 

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