東京・明治神宮外苑地区の再開発で3メートル以上の樹木の伐採が今月内にも始まる見通しを受け、日本イコモス国内委員会の石川幹子理事が24日、環境への影響について「審議が公明正大に尽くされていない」として都に再審議を求めた。25日に要請書を都の担当者に手渡す。

◆イチョウへの影響、未調査があると主張

神宮外苑

 事業者側は9月、移植を増やすなどとして伐採本数を当初よりも124本少ない619本にする見直し案を発表。今月21日にあった都の環境影響評価審議会に報告し、委員から質問が相次いだものの異論は出なかった。報告が受け入れられたため事業者は準備が整い次第、伐採に着手する方針を示した。  24日に都庁で会見した石川理事は審議の問題点として、4列のイチョウ並木の生育について、高層ビル建築によるヒートアイランド現象や新球場建設による土壌の影響を調査していないことなどを挙げた。

◆都の担当者「丁寧な説明という評価あった」

神宮外苑の再開発の審議やり直しを求める石川幹子理事

 また事業者側は昨年の審議会で、2019年に実施した調査を基にイチョウ並木は「すべて健全である」と報告していたが、その後発表した23年実施の調査でイチョウの一部について「衰退傾向がある」と評価した。石川理事は「重大な虚偽な申請だが、審議がされていない」と指摘した。  都の担当者はイチョウについて「当初の調査後に衰退が進んだと考えられ、虚偽なものではない」と説明。都の条例では事業計画の変更があった場合、都が「環境に著しい影響を及ぼすおそれがある」と認めれば、審議会に再び諮問できるが、「先日の審議会で委員から丁寧な説明だったという評価も得ている」として再審議の可能性も否定した。(原田遼) 

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