東京都中野区のシンボルで昨年7月に閉館した「中野サンプラザ」の跡地に建設予定だった超高層ビルと多目的ホールの再開発計画が、工事費の急騰により見直される。建物の解体着手は見通せず、現行計画の2029年度中の完成は困難となった。区は24日、本年度内に新しい計画を示す方針を明らかにした。(浜崎陽介)  建設予定の複合施設「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」は、地上62階建ての高層棟(262メートル)に展望施設、店舗、住宅やオフィスが入り、低層棟には収容人員7000人規模の大ホールやホテルが入る計画だった。野村不動産を代表とする4社が施工する。

閉鎖された中野サンプラザのビル。2024年度中にも解体が始まる予定だったが、開始時期は見通せないという=24日、東京都中野区で

 21年の当初計画の総事業費は1810億円で、事業者が都に市街地再開発事業の施行認可を申請した今年7月時点で2639億円に膨らんでいた。さらに、9月上旬、野村不動産から区に「工事の見積もりが900億円増える」と連絡があり、今月11日に計画を見直すため施行認可申請が取り下げられた。  区によると、基本設計が完了し、工事を請け負う清水建設が改めて見積もりをしたところ、人件費や資材の高騰で大幅に増えた。区が支出予定だった補助金430億円(国や都からの交付金を含む)は、新たな計画次第で増額の可能性もあるという。  酒井直人区長は24日に開いた定例記者会見で「ここまでの値上がりは事前に知らされておらず、驚いた。非常に残念だが、なるべく早く計画を見直したい」と述べた。新たな事業計画については「中野サンプラザのDNAといえるコンサートホールやホテルを維持できる範囲内での変更になる」と見通しを語った。(浜崎陽介) 

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