他人名義のクレジットカードで新幹線乗車券を不正に購入、発券したとして、警視庁犯罪収益対策課などは24日、私電磁的記録不正作出・同供用と窃盗の疑いで、男女2人を逮捕したと発表した。発券した乗車券を金券ショップに持ち込み、現金化していた。JR東海は同様の手口で今年1〜10月に少なくとも8億7000万円の被害があったと申告している。

新幹線

 逮捕されたのは、埼玉県川口市、中国籍の劉虎(33)と、埼玉県川口市、ベトナム国籍のブ・ティ・チン(28)両容疑者=いずれも職業不詳。認否を明らかにしていない。  逮捕容疑では、劉容疑者は8月5日、不正入手した他人のクレジットカードで新幹線乗車券を購入し、JR赤羽駅で18枚(計約24万円)を発券、チン容疑者は7月17日、同様の手口で38枚(計約46万円)を発券して、それぞれ窃取したとされる。   ◇

◆偽メールで誘導し個人情報を入手

 劉容疑者らは、JR東海のオンラインチケットサービス「エクスプレス予約」に登録されている個人情報やクレジットカード情報を、メールから誘導し偽サイトに入力させる「フィッシング詐欺」で入手。その情報で予約、購入を済ませ、同時に発行されるQRコードで発券させていた。  被害を防ぐため、鉄道会社も対策に追われる。JR東日本では、ネット上で購入した乗車券を発券する際には、QRコードのほかに、購入時に使用したクレジットカードの持参も必須とした。不正購入事案が多発したことを受けて昨年5月にシステムを導入し、以後は被害が減ったという。

◆大量の金券持ち込み「店側も注意を」

 今回被害に遭ったJR東海も今後、本人認証サービスなどを導入予定だ。同社の広報担当者は「不正利用の実態を把握し、警察の捜査に協力し、カード会社とも連携しながら被害拡大防止に努めたい」と話す。  捜査関係者は「金券ショップ側も、大量に乗車券が持ち込まれた場合などには犯罪を疑ってほしい」と呼びかける。(昆野夏子) 

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