北海道の知床半島沿岸で今年8月に見つかったデジタルカメラが、知床沖で2022年4月に観光船が沈没し計26人が死亡・行方不明となった事故で犠牲となった乗客の橳島優さん(当時34)=千葉県松戸市=のものだったことが23日、分かった。
遺族の代理人弁護士によると、復元できた写真データは約700枚。うち約80枚が、事故当日に撮られた海の風景や橳島さんの姿だった。
橳島さんの両親は「奇跡だ。息子がどうしても私たちに見せたかったのでは、と感じて胸が締め付けられた」とのコメントを出した。復元画像の中には、運航会社「知床遊覧船」の事務所前を撮ったものもあった。
カメラは8月14日、さびた状態で、半島先端の知床岬近くの入り組んだ波打ち際にあった。ボランティアで不明者の捜索に当たった地元の漁師らが発見した。機種や付属品の特徴から橳島さんの所持品と判断され、道警が両親へ渡した。カメラに入っていた記憶媒体のデータ復元は、両親の依頼を受けた専門業者が担当した。
事故を巡っては、釧路地検が今月9日、悪天候が予想されるのに出航を中止するなどせず注意義務を怠ったとして、業務上過失致死罪で運航会社社長の桂田精一被告(61)を起訴。乗客の家族らは今年7月、桂田被告側に約15億円の賠償を求めて札幌地裁に提訴した。〔共同〕
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