ノーベル平和賞受賞が決定した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員(92)が22日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見した。海外メディアなどを前に「生きている限り、原爆による被害の実態を伝えていく」と訴えた。

田中さんは13歳の時、爆心地から約3.2キロの長崎市の自宅で被爆。伯母ら親族5人を失った。被爆者運動に1970年ごろから携わり、2017年には代表委員に就任した。

会見冒頭、田中さんは、被爆3日後に爆心地に入った状況を説明。多くの人が亡くなったまま、あるいはけがをしたまま放置されていたという。「こんなひどい殺し方をしてはいけないと強く感じた。それが信念になっている」と話した。

日本被団協は70年代後半から、国際的な運動も展開してきたと言及。国連の軍縮会議には必ず被爆者を派遣し証言してきたと話し、「反核世論を大きくするのに役立った。そのことが、ノーベル平和賞につながったと思っている」と自負した。

一方、日本政府は核抑止政策を必ずしも否定していないと批判し、「国民が原爆の被害を十分に理解できていないということだ」と分析した。その上で「核兵器は絶対なくさないといけない。生きている限り、実態を伝えていく」と力を込めた。

日本外国特派員協会で記者会見する日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員=22日午後、東京都千代田区

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