記録的豪雨で輪島中の校庭の土砂が流れ込んだ住宅=8日、石川県輪島市

 石川県能登地方を襲った9月の記録的豪雨で、元日の地震により地割れが発生していた輪島市立輪島中学校の校庭が崩れ、大量の土砂が住宅街を襲った。危険性を指摘されながら、復旧が進まないうちに崩落。住民からは、市の姿勢に怒りの声が上がる。

 市や住民によると、高台にある輪島中の広さ約1万6千平方メートルの校庭は、地震で約130メートルにわたる地割れが発生。9月21日の豪雨で、地割れ部分から土砂が濁流となって崩れ落ち、坂道を猛スピードで下り、あっという間に数百メートル先の建物や車をのみ込んだ。泥は高さ約1メートルにまで達した。

 経営するクリニックと自家用車が埋もれた医師嘉門信雄さん(70)は「ボイラーや室外機、車が故障して処分せざるを得なくなった。医療機器も使えるのか分からない状態だ」と嘆く。

 地震後、雨が降るたび地割れ部分から少しずつ土砂が流れ出していた。住民は迅速な復旧を求め続けたが、市は流出防止の根本的な対策は取らず、坂道に土のうを並べたぐらい。豪雨時、濁流は土のうを越えて住宅街に流れ込んだ。

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