伊藤詩織さんの映画について問題点を指摘する西広陽子弁護士(右)=21日午前、東京・霞が関の司法記者クラブ

 自らの性暴力被害を公表したジャーナリスト伊藤詩織さん(35)が初監督を務めたドキュメンタリー映画を巡り、伊藤さんの元代理人弁護士らが21日、東京都内で記者会見し、裁判以外で使用しないと誓約した映像を無断で使用するなど、映画には問題があると指摘した。

 会見した西広陽子弁護士は「訴訟のルールにのっとり提出されたものを目的外使用すれば、証拠の少ない性被害での証言や映像提供者がいなくなってしまう」と述べた。「多くの性被害者たちが声を上げられる社会になるために、承諾を得てほしい」と対応を求めた。

 映画は「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」で、性暴力を自ら調査した様子を描き、4月のサンフランシスコ国際映画祭で審査員特別賞を獲得。

 弁護士らによると、現場となったホテルの防犯カメラ映像を「裁判以外に使用しない」との誓約書を出して提供を受けたのに、無断で使用。また、刑事事件の捜査の問題を告発した捜査員の音声を加工せず映画に盛り込むなどしたという。伊藤さん側に繰り返し問題を指摘したが対応がないとしている。

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