埼玉県警は県内9金融機関と不正口座のデータなどを共有しながら、犯罪の抑止・拡大を防ぐ(21日、さいたま市)

埼玉県内に本店を置く9つの金融機関と埼玉県警は21日、特殊詐欺の被害防止に関する協定を結んだ。オレオレ詐欺や還付金詐欺といった特殊詐欺に使われた「不正利用口座」の情報を、県警が金融機関と共有する。取り組みは全国で初めてで、県内の特殊詐欺の被害額が過去最悪のペースで推移したことを踏まえ対策を強化する。

21日、県警本部(さいたま市)で結ばれた締結式には、埼玉りそな銀行、武蔵野銀行、県内の4信金など9機関のトップらが参加した。

被害届を受理した県警は翌日に「不正利用口座」の口座番号などを共有。金融機関が口座を監視し、ほかにも被害が懸念される人に県警が接触する。不正利用口座と同じ人が利用した可能性のある口座も調査し、更なる犯罪防止にもつなげる。犯罪に加担している疑いのある人の口座開設も防止して犯罪収益のマネー・ロンダリング(資金洗浄)の退路も断つ。

県警職員を講師とした金融機関への研修も実施し、最新手口などへの理解を深めてもらう。組織犯罪対策第三課の島野裕介課長補佐は「窓口対応は被害防止の最後のとりでとなっている。積極的に情報を伝え、被害者に気づくための対応力強化につなげてもらう」と強調する。

県警によると、埼玉県内の特殊詐欺の被害金額は9月末時点で32億4,805万円と、過去最高ペースで、年間の被害額も過去最多となる可能性がある。インターネットバンキングの普及で引き出しなどの金額が大きくなっていることも背景にあるという。

埼玉りそな銀行の福岡聡社長は「双方向の情報共有をすることで、より多くの金融犯罪の防止につながる。暮らしの安全のために『オール埼玉』で対応し、取り組みが全国に広がるきっかけにしたい」と話した。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。