円相場が29日、1ドル=160円台まで下落した後に一転して154円台に急騰し、政府・日銀が為替介入に踏み切ったとの観測が外国為替市場で浮上した。介入の実務を取り仕切る財務省の神田真人財務官は同日夕、記者団に対して「投機による激しい、異常とも言える変動が国民経済にもたらす悪影響は看過し難い」との認識を示した。その上で、「引き続き必要に応じて適切な対応をしていきたい」と市場をけん制。為替介入を実施したかどうかは、「申し上げることはない」と明言を避けた。
市場関係者の間からは「値幅の大きさから、介入の可能性が高い」(大手銀行)との声が多く聞かれた。一方、週明け29日は東京市場が祝日で休場だったため、「薄商いの中、政府・日銀に介入を催促しようと仕掛け的な円買いが出たのではないか」(証券会社)との見方もあった。
政府・日銀が急激な円安の進行を阻止するために円買い・ドル売りの為替介入を実施していれば、2022年10月以来、約1年半ぶり。円相場は、日銀が26日の金融政策決定会合で政策金利の現状維持を決めると日米の金利差を意識した売りが加速。同日の海外市場で158円台まで下落し、介入警戒感が広がっていた。
1ドル=154円台に上昇した円相場を示すモニター=29日午後、東京都中央区
円相場の乱高下について記者団の取材に応じる神田真人財務官=29日夕、財務省
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