山形県鶴岡市の中心商店街の一角に今年5月、昭和のおもちゃや雑貨など約10万点を展示する「昭和サブカルチャーミュージアム」がオープンした。懐かしの品々が所狭しと並び、一日いても飽きることがない。さっそく交流サイト(SNS)で話題となり、県内外から続々と客が訪れている。商店街の活性化にも一役買いそうだ。(共同通信=飯田壮一郎)
1980年代を再現した部屋には、松田聖子さんや薬師丸ひろ子さん、山下達郎さんらのレコードがずらり。モンチッチのぬいぐるみや1970~90年代の週刊少年ジャンプ、映画「ジョーズ」のポスターなど、昭和から平成初期ごろまでの膨大なコレクションが並ぶ。
家庭用ゲーム機のファミリーコンピュータで「スーパーマリオブラザーズ」や「パックマン」を実際に遊んだり、野球盤で童心に返ったりと、楽しみ方は自由だ。
初めて訪れた山形県新庄市の大沼千秋さん(54)は「自分が使っていた物ばかり。懐かしい気持ち」と笑顔。来場者の中には昔を思って涙する人や、昭和のデザインを学びに来る若者の姿もある。自らも収集家の五十嵐良二館長(54)は「子ども時代を思い出し、温かく前向きな気持ちになれる場所にしたい」。
開館のきっかけは、生活用品などの収集家として知られる秋田市の油谷満夫さん(90)と、商店街のビルのオーナー佐藤勝彦さん(48)との出会い。ビルの空室を活用した町づくりを考えていた佐藤さんが、知人の五十嵐さんに声をかけ、油谷コレクションの保管を兼ねて博物館を開設することを思いついた。
実際にオープンしてみると、物珍しさも手伝って地元住民だけでなくSNSで知った県外の人が押し寄せ、来場者はあっという間に千人を超えた。訪れた人が自分のコレクションを寄贈してくれたり、ビルの空きスペースに駄菓子屋や衣料品店が新規開店したりと、うれしい反響もあった。
人口減少や大型店の郊外進出の影響で、市中心部のにぎわいは薄れつつある。商店街で家具店を長年営む竹野等さん(75)は「新しい発想で挑戦すれば、また人の集まる場にできるかもしれない」とエールを送る。
期間限定の開館予定だったが、評判の良さから年内は続ける見通し。開館は午前11時から午後4時半まで。不定休。高校生以上500円。
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