宮内庁によりますと、上皇后さまは、年齢を重ねる中、健康に注意しながら上皇さまと穏やかな生活を続けていましたが、ことし6月には新型コロナウイルス感染が確認され、今月6日には東京 港区の赤坂御用地にあるお住まいの仙洞御所で転倒して大たい骨を骨折し、手術を受けられました。

術後の経過は順調で、退院後は車いすを使って生活し、毎日、午前と午後、合わせて1時間余り歩行訓練などのリハビリをされているということです。

上皇后さまは、これまでと同様に上皇さまの様子を注意深く見守り、気を配られていましたが、最近では、上皇さまが上皇后さまの体力の低下を心配して「大丈夫?」と声をかけられる場面が多くなっているということです。

そうした中でも、昭和と平成の時代に上皇さまとともに全国を2巡した旅を思い起こしながら、日々起きる社会の出来事や人々の暮らしに目を向けていて、能登半島地震の被災地の様子を案じつつ、物事がよい方向に進むことを願われているということです。

上皇后さまは、音楽を通した人々とのつながりを今も大切にしていて、ことし7月にはおふたりの卒寿を祝う音楽会を鑑賞して、ゆかりのある音楽家などと交流されました。

また5月には、上皇さまが戦時中に疎開生活を送られた栃木県日光市をともに訪ね、8月には、静養のため、おふたりにとっての思い出の地、長野県軽井沢町に滞在して、地元の人たちなどとふれ合われました。

20日は、お住まいで誕生日の祝賀行事が行われ、天皇ご一家や秋篠宮ご夫妻など皇族方から祝賀を受けられます。

上皇ご夫妻の映像公開

宮内庁は、上皇后さまが転倒してけがをされる2日前の今月4日に、お住まいがある東京 港区の赤坂御用地で撮影された映像を公開しました。

映像には、上皇后さまが上皇さまと手をつないで御用地内を歩かれる様子が写っています。

側近によりますと、この時、上皇さまは、幼い頃に過ごしたお住まいがあった場所などを上皇后さまに説明されていたということです。

上皇后さまの近況

宮内庁が発表した、上皇后さまの近況です。

上皇后さまは、今年、卒寿をお迎えになります。

ご高齢が進む中、健康に注意されながら、陛下と穏やかな生活をお続けでしたが、今月6日夕刻、仙洞御所内でお転びになり、右脚にお痛みが残ったことから、翌日、東京大学医学部附属病院において検査をお受けいただいたところ、右大腿骨上部の骨折と診断され、8日早朝に同病院において手術をお受けになりました。

ご手術は無事終了し、13日にご退院になりました。

現在は、仙洞御所で日々リハビリテーション訓練を続けておられます。

ご入院前までは、いつものように陛下と静かで規則正しい毎日をお過ごしでした。

昭和、平成の時代に陛下と全国を2巡された旅を思い起こされながら、日々生起する社会の出来事や人々の暮らしに目を向けられ、陛下と共にものごとが良き方向へと進むことをいつも願われているご様子でした。

今年は元日に最大震度7を観測する能登半島地震が発生しましたが、両陛下は、被災地の様子を案じられ、新聞やテレビの報道に接するたびに心をお痛めのご様子でした。

また、被災地の復興が進められていた9月、今度は記録的な大雨が能登地方を襲い再び大きな被害が発生しましたが、両陛下は被災地の様子を一層案じられ、被災者への思いを深めていらっしゃるご様子でした。

ご研究やご検診等を除き、今年、両陛下が仙洞御所からお出ましになったのは、昭憲皇太后百十年祭につき明治神宮にご参拝になった4月9日が初めてとなりました。

7月、両陛下の卒寿を奉祝する音楽会が皇居・桃華楽堂で催されました。

両陛下と長く交流のある6名の演奏家が、忙しい中出演を引き受け、両陛下にお祝いの言葉と共にクラシックとジャズの演奏を披露してくれました。

私的な集まりで上皇后さまのピアノと共演したことのある「音楽のご友人」による心のこもった演奏に、両陛下は感謝を示され、会場全体が和やかで明るい雰囲気に包まれました。

上皇后さまの周りには児童文学を始め英詩朗読や音楽を通したお仲間が多く、そうした人々とのご交流が、ご譲位後の静かなご生活に潤いをもたらしてくれています。

一昨年亡くなった児童文学者、翻訳家であり、上皇后さまと長年にわたり静かに深く結ばれていた松岡享子さんの著書「子どもと本」は、長く上皇后さまのお机に置かれており、再読されているご様子です。

昨秋には、上皇后さまとご親交があり、海外でも活躍する4名のピアニストからご案内があり、それぞれの演奏会に足を運ばれました。

今年5月には、両陛下のご成婚時に「祝典行進曲」を作曲した故團伊玖磨さんの「生誕100年記念コンサート」にお出ましになり、同7月には、上皇后さまが朗読される「降りつむ」に曲を付けた作曲家の故尾高惇忠さんが、両陛下のご成婚60年を祝して作曲したコーラス曲「祈りの花束」を横浜市の演奏会でお聴きになりました。

また、草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティヴァルで何度も共演されたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の元コンサートマスターでヴァイオリニストであったウェルナー・ヒンクさんが今年5月に死去された折には、それまでの指導に感謝され、遺族に御弔意をお伝えになりました。

音楽を通した人々とのおつながりを今も大切になさっています。

今年5月、陛下がご疎開になった旧日光田母沢御用邸や奥日光湯元湖畔を、陛下とご一緒にお訪ねになりました。

当初、戦後70年を迎えた平成27年に戦争を振り返る旅として計画されましたが、大雨災害の発生その他の事情によりお取り止めとなり、ようやく実現しました。

上皇后さまは、終始、陛下のお話に耳を傾けられ、先の大戦とご疎開時代を振り返られる陛下に寄り添われておいででした。

夏には、陛下とご一緒に那須御用邸と長野県軽井沢町の大日向でご静養になりました。

昨年同様、那須では平成の森をお訪ねになり、御用地内でご在位中にご訪問になった地元農家の人々20名とお会いになりました。

大日向では、この地をお詠みになった昭和天皇の御製碑をお訪ねになり、開墾された広いキャベツ畑をご散策になって、終戦前後から戦後にかけて苦労を重ねた満蒙開拓団の人々に改めて思いを寄せていらっしゃるご様子でした。

今年は、愛子内親王殿下が大学をご卒業になり、悠仁親王殿下が成年に達せられましたが、上皇后さまはそのご成長をお喜びになっていらっしゃいます。

天皇皇后両陛下を始め皇族方のご活動については、いつも陛下と静かに見守られております。

取り分け、ご成婚以来深くご信頼になっている今年101歳を迎えられた崇仁親王妃百合子殿下にはいつも心をお寄せで、度々に永井皇室医務主管にご様子をお尋ねになっています。

お怪我前の上皇后さまは、陛下との朝夕のご散策で、お庭に咲く草花や木々の移り変わりを楽しまれ、御用地に飛来する鳥や昆虫に目を留めていらっしゃった、とお供した者から聞いています。

身近な自然について、陛下とお話になる時間を大切にされ、楽しんでおいでなのではと感じています。

ご朝食後の陛下との本の音読は続けておられ、今は陛下がお選びになった池宮城秀意著「戦争と沖縄」をお読みです。

上皇后さまは、これまでと同様に陛下のご様子を注意深く見守られ、気配りをなさっていましたが、最近では、陛下が上皇后さまのご体力の低下をご心配になり、「大丈夫?」とお声をお掛けになる場面が多くなっていました。

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